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身近な慢性炎症

歯周病

 歯周病は日本人の8割以上が感染していると言われている感染症です。歯周病菌にはいくつか種類がありますが、その中で最も多いのジンジバリス菌です。子の細菌はグラム陰性菌に分類され、グラム陰性菌の細胞壁には内毒素(エンドトキシン)が存在し、細胞が壊れると流出して、マクロファージなどの免疫細胞を刺激してTNF-αという炎症誘発物質が分泌されます。
 TNF-αは細菌をその場に押し留めて感染拡大を防ぐはたらきがありますが、分泌が続くとその周辺は炎症が慢性化して”焼野原”状態となります。
 歯周病を放置して炎症が続くと、TNF-αの持続的な分泌によりインスリンの効き目が悪くなり糖尿病を発症したり、糖尿病の症状が悪化することが報告されています。
 また近年の研究では、歯周病から歯肉が傷つき、歯周病菌が体内で増殖して内毒素が流出し、TNF-αが分泌されることで動脈硬化を起こしやすいことも分かってきています。
 さらに、増殖した歯周病菌が心臓の内膜や弁膜に感染して炎症を起こすことも判明し、歯周病の適切なケアは病気の予防に欠かせません。

腸〈リーキガット症候群〉

 リーキガット症候群は一般的には腸漏れ症候群と呼ばれ、腸が慢性炎症に陥っている状態です。この疾患は腸からの栄養が吸収しづらくなり、バクテリアやウィルス、化学物質、汚染物質などが腸管から漏れ出して、体内に流れ込んでしまいます。本来、腸は身体に悪影響を及ぼすものが体内に入り込まないように上皮細胞どうしが密着した壁となりすき間の無い状態をつくっています。ところが、ストレスなどにより腸が炎症を起すと、この結合が緩みすき間ができてしまいます。そして、身体に悪影響を及ぼすものが腸管の血管内に入り、血流に乗って全身へ運ばれます。
 血流に乗った細菌や真菌(カビ)、化学物質などは肝臓にたどり着き、まず、肝機能が低下します。さらにヒトによってはアレルギー疾患や関節炎、疲労感やうつ、頭痛、肥満などが表れます。また、本来は無害な食べ物の成分でも、腸管内の血流に入り込むと免疫細胞が異物として反応し、自己免疫疾患の原因となることもあります。事実、リーキガット症候群に罹患しているかたにはアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患のかたが多いことが分かっています。
 腸は臓器のなかで最も老化しやすく、経年劣化の激しい臓器です。40歳以上で下痢や便秘、腹部膨満感などがあり、アレルギー疾患や関節炎などを患っているかたはリーキガット症候群の可能性を視野に入れてみてください。
 jastではプレクリニックでご相談におこたえしております。