本文へ移動

不定愁訴について

不定愁訴(ふていしゅうそ)とは?

不定愁訴とは、身体的症状を訴えても、検査などで明らかな疾患が見つからないといわれる状態です。
ときに心理的な問題とされ、精神科の受診を薦められたり、全身の様々な症状に、どの科を受診したらよいか分からないという悩みや、どこに行っても原因が分からず治らないと長期間にわたり苦しむかた、また、ドクターショッピングに陥ってしまうケースもみられます。また、不定愁訴といわれた患者様のなかには、心理的な原因ではなく、器質的な異常があるかたが混じっている可能性があるとの専門医の指摘もあります。時間をかけた丁寧な診察を受けるが必要があります。
「プレクリニック」ではこのようなご相談をお受けし、内容を詳しく検討した上で、適切な専門医のご紹介も行ないます。
TEL. 03-6265-0263
お電話でのご予約もお待ちしております

”クタクタ疲れ”はありませんか?

不定愁訴のなかに「クタクタに疲れて朝になっても起きられない、会社にも行けない」と仰るかたがおられます。

「慢性疲労症候群」の症状は多岐にわたりますが、特徴的な5つの症状をご紹介します。
(米国デポール大学心理学教授で慢性疲労症候群のスペシャリスト レオナルド・A・ジェイソン博士)
1.一晩寝ても疲れがとれない。毎日8時間どころか10時間、あるいは12時間寝ても朝、ベッドから起き上がるのがやっとという状態が続きます。
2.疲労感が何か月も消えない。「人口の約4分の1は常に疲労を感じていますが、6か月以上極度の疲労が消えない人はそのうちの5%程度」とジェイソン博士は語っておられます。
3.ちょっとした運動でもクタクタに
4.身体が痛い。 頭痛、筋肉痛、関節痛、リンパ節の腫れ、喉の痛みなどはこの疾患の症状になり得ます。慢性疲労症候群は体内の慢性的な炎症が絡んでいると指摘する文献は多くあります。線維筋痛症や関節リウマチなどの痛みを伴う病気の診断を受けて治療をしているものの、緩和されていない場合には、慢性疲労症候群を検討してみてはいかがでしょうか。
5.常に頭がぼんやりしている 慢性疲労症候群の患者様の90%以上は思考力の減退、読んでいる内容が理解できない、記憶障害、頭に霞がかかったようで消えないといった認知機能の不調を訴えています。うつ症状が表れることもあります。これまでの研究によって慢性疲労症候群には脳の情報処理ネットワークの乱れが関与する可能性があることが分かっています。

小児性慢性疲労症候群

クタクタ疲れは子供たちの中でもみられます。小児性慢性疲労症候群と言って、罹患している子供たちの中には不登校児童や生徒が多く存在しています。3か月以上続く疲労・倦怠感、睡眠・覚醒の障害などの症状が表れます。子供たちの疲労は学力低下と関連し、小児慢性疲労症候群に伴う記憶や注意力の低下が学校生活の適応を妨げている可能性が指摘されています。

不定愁訴の主な原因

自律神経の変調

自律神経は交感神経と副交感神経から成り、この2種類の神経がバランスをとることで健康が維持されています。交感神経が優位になると血管は収縮し、副交感神経が優位になれば血管は拡張します。この上手な切り替えによって血液を全身に巡らせています。
スマホを見るときなどに頭をかがめた前のめり姿勢を続けると自律神経の変調をきたすことがあります。首コリと言われる症状です。
動悸、多汗、ドライマウス、ドライアイ、のぼせ、冷え性、目が眩しい等、様々な症状が表れます。自律神経症状はこのようなまとまりのない症状が一般的で、医療機関で「不定愁訴」といわれることもあります。

内頸静脈の血流異常

首は神経と血管が束になって走っている急所です。心臓から頭に送られる血液は大動脈、総頸動脈を経て、首の付け根付近で分かれ内頸動脈が脳へ、外頸動脈は顔の周辺に血液を届けます。内頸静脈は内頸動脈の後方を沿うように走っており、脳や顔面の表層、頸部の血液を集めて心臓へと戻しています。この静脈の血流が滞ると上流にある内耳が水浸しの状態になり、めまい、ふらつき、耳鳴りなどの症状が惹き起こされます。このような症状は耳鼻咽喉科の受診を考えがちですが、原因は頸部の血流障害です。

また、台風が近づくと目玉の周りがズキズキ痛いとか、こめかみがひどく痛くて吐き気がある、頭のてっぺんがズキズキする、あごが痛い、耳の後ろが痛いなどの様々な症状に悩む方もおられます。
台風だけでなく、気圧や気温の急激な変化も自律神経の求心線維(いわゆる感覚系)が微妙に刺激されることとなり、気圧の低下に対してミクロン単位で膨らみ、耳の奥がガサゴソしたり、鼻の粘膜が刺激されたり、ものを飲み込みにくくなるなどの症状が表れる場合があります。

女性ホルモンの減少

 40歳を過ぎた頃から女性の卵巣機能が低下し始め、50歳前後に閉経を迎えます。閉経を挟んだ45~55歳のおよそ10年間を更年期と呼び、この時期に女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少することで心身に様々な変化が表れます。
 女性ホルモンは脳の視床下部でコントロールされています。また、視床下部には自律神経、食中枢も同居していて互いに影響し合っています。
 視床下部の指令を受け脳下垂体から卵巣刺激ホルモン(FSH)が分泌されますが、卵巣機能は低下してエストロゲンの分泌量が減少するため、ノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されてさらに卵巣刺激ホルモンが分泌されます。こうして自律神経の変調が起こり様々な心身の不調ーホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、イライラ、不安感、発汗、頭痛、動悸、息切れ、関節痛、しびれ、喉のつかえ、胃腸症状、食欲不振などーが表れます。

 近年、男性でも更年期の症状が報告されています。