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エビデンスに基づいた健康情報

ダイエットのススメ

地中海式ダイエットと生活習慣病/からだと地球に優しいダイエット
2021-10-23
 エーゲ海に浮かぶクレタ島は古代ミノア文明の栄えた土地で、ギリシャ神話にもたびたび登場しています。怪物ミノタウロスを閉じ込めた迷宮ラビリントスがあると伝えられたクノッソスをはじめ、多くの遺跡が現在も残されています。この島での食事が、健康食として知られる地中海式ダイエットの原点です。

 もともと貧しかった島民の食事を案じたギリシャ政府の依頼で始まった研究の結果では、驚くべきことに島民の健康状態が極めて良好でした。現代でも同じですが、1950年代には致命的な疾患として生活習慣病、特に心筋梗塞が大きな問題となっていました。そこで、日本を含む7か国から16の地域が選ばれて食習慣と心筋梗塞の関連を26年間に渡り調査し、その報告が出されました。

 最も心筋梗塞の死亡率が低く、飽和脂肪酸(お肉、牛乳、バターなどに多い)の摂取量が少なかった地域がクレタ島でした。クレタ島では有名な食材のオリーブオイルがふんだんに利用され、他には野菜やハーブ、チーズ(自然放牧のヤギのチーズが主だそうです)、魚類、そしてナッツなどとともに赤ワインが好まれているそうです。(私は訪れたことがありませんので、研究報告と伝聞ですが)こうした食材は栄養素の研究が進んだ現代社会において、健やかな身体を作る土台となる栄養素が多様に組み込まれているように思われます。

 方法論にもよりますが、お肉やお砂糖を控えるカロリー制限や糖質制限では、地球の存続(サスティナブルアース)を視野に入れた地球に優しいダイエットの側面があります。食材から糖だけを減らし、脂質やタンパク質でエネルギーを補う低糖質ダイエットに関して興味深い一文がありました。東京大学大学院教授の佐々木敏先生の”データ栄養学”からのご紹介です。
【食べ物は人と人をつなげてくれます。しかし、同時に、食べる物で持てる者と持たざる者を区別してきた歴史もあります。その代表が肉でした。低糖質ダイエットはたとえ無意識であっても、人類の長い歴史の中で富と権力の象徴となりえた肉を諦めずに(庶民の糧である穀物やイモと一線を画しつつ)糖尿病予防などの健康を手に入れることができる点(勝組の食事をしながらメタボ対策になる)は魅力的です。但し、初期の段階では血糖値が下がりますが、1年間の結果ではその効果が認められなくなります。よほど厳格に長期間継続しない限り難しいと考えられます。つまり、実際のデータでは少なくとも、現在のところ目立った違いはありません。そうであれば、地球の環境を視野に入れたダイエットという視点も少しはもちたいものです。】※一部内容を纏めました。

 今週も身体に優しく、地球にも優しいダイエットを続けていき、ヒトだけでなく全ての生命を包んでくれている地球の環境に配慮した食生活を目指したいと思います。