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エビデンスに基づいた健康情報

栄養素と病気予防

栄養素のお話ー葉酸
2022-05-21
注目
 秋の長雨は耳にしますが、初夏の長雨は寡聞にして知りません。天候は私の経験を遙かに上回り、予測ができなくなっています。地球の環境変化に対応するのは個人ではなかなか難しいのですが、意識することで個々人ができることを積み上げていきたいものです。ここ数日やっと日差しが戻り、庭の花々は鮮やかさを増しています。花々を観察すると新しい花芽が次々に見つかり、命が輝くことを実感できます。ヒトの世界でもたくさんのママやパパが新しい命の誕生を待ち望んでおられると思います。

 小さなベビィが健やかに誕生するために欠かせないビタミンの一種、葉酸のお話を今回はいたしましょう。ホウレンソウの抽出物から発見された葉酸はビタミンB群の仲間で、「ビタミンM」と呼ばれることもあります。

葉酸は私たちの身体を構成する細胞の発育を正常に促すために欠かせない栄養素で、生命の設計図(DNA)や染色体を造る時に重要な役割を果たします。そのため、胎内のベビィにとって健やかな身体や中枢神経系が適切に発達するためには不可欠の栄養素ですので、妊娠を望む女性や妊娠初期のママにはベビィのために必ず摂っていただきたい栄養素の一つです。

妊娠中の場合は、産婦人科の担当ドクターからベビィの神経管閉塞障害などといった疾患予防のために葉酸が処方されることが多々あります。因みに妊娠中の女性では、平均的な葉酸の必要量の約2倍近くが摂取目標です。妊娠を希望しておられる、あるいは妊娠中のサプリメントをご利用になる場合には400㎍(日本人の食事摂取規準240㎍の2倍相当)程度が望ましいと思われます。

 葉酸には抗貧血作用もあり、胎内のベビィに必要な栄養を届け、ママの貧血による転倒を防ぐなどのためにも大切と考えられます。「重要」「大切」という言葉が続きますが、緑色のお野菜を十分に召し上がれば、概ね葉酸不足は解消できると思いますので、不足しないように意識することが最も重要でしょう。最後に様々な研究によれば、成人の脳卒中や心筋梗塞などを予防する作用が葉酸にはあると伝えられています。

 jastは9月に3年ぶりに講演会を開催する予定でおります。講演会ではDoHaD(将来の健康や特定の疾患へのかかりやすさは胎児期や生後早期の環境に強く影響を受けて決定される)学会会長の福岡秀興先生と、不定愁訴に関する深いご洞察をお持ちの弊社最高顧問 遠藤雄三先生のお二人にご登壇いただき、分かりやすくお話していただく予定としております。遠方のかたはZOOMにてのご参加も可能でございますので、ぜひ皆さま奮ってご参加くださいませ。ご案内はホームページで近々アップさせていただきます。