栄養素と病気予防
栄養素のお話ーストレスとビタミンB群
2022-05-14
チェック
「五月雨や 大河を前に いえ二軒」著名な与謝蕪村の句です。 連休明けから雨の日が多く、沖縄県では梅雨に入り、他の地方では走り梅雨と報道されています。環境の変化とともに、雨の降り方も激しさを増し、土砂災害などが増えているのは悲しいことです。今後そぼ降る雨を謳った美しい句がうまれにくくなるかもしれませんね。
けれど、庭の木々は雨に打たれても艶やかな緑の葉を拡げて、自然の強靭さを伝えてくれています。コロナ禍やロシアの侵攻など辛いニュースが続き、強いストレスがかかる日々の中で、私たちヒトも自然を見習って、できうる限り強靭なこころを持ち続けなくてはならないかもしれません。
地球の生命は自然の恵みによって健やかさを保つシステムを備えて、古来より命を繋ぎ、現在に至っています。ストレスに対応できる栄養素も自然界には多々存在しています。ビタミンB群もその一つです。前回お話いたしましたビタミンB6、ビタミンB12、葉酸以外にもビタミンB群にはビタミンB1やビタミンB2、パントテン酸、ナイアシン、ビオチンなどが含まれ、協働して身体のほぼ全ての生理現象をサポートしています。
ビタミンB群は日々のエネルギー産生に欠かせない栄養素ですので、エネルギー不足と感じる方には必須だと思われます。また、神経系の機能を助けて、神経刺激を伝達する経路でも必須ですので、ストレスによって鬱々した気分や無力感、精神が不安定な状態にも有効に作用します。ビタミンB群は多様な食材に含まれていますが、水溶性ビタミンですので、なるべく加熱しないで召し上がることがお薦めです。
また、”幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンを増やすこともストレス対策になりそうです。セロトニンはアミノ酸の一種トリプトファンから作られます。そのため、タンパク質ーアミノ酸(特に必須アミノ酸)も不可欠です。そうした栄養素が、必要な場所で必要な役割を果たすためにミネラル群も重要です。
毎回で”耳にタコ”と思われるかもしれませんが、やはり単独で栄養素を摂り入れるのではなく、様々な栄養素を身体の隅々まで届けることが、健康への近道なのですね。因みに厚生労働省のホームページによれば、近年、女性ホルモンの低下によってセロトニンの分泌が減少し、その結果、更年期障害が起こる可能性が指摘されています。