栄養素と病気予防
栄養素のお話ー動脈硬化を防ぐビタミンB群
2022-04-30
注目
気づくとあっという間に一週間ですが、花々や木々、虫たちの営みを見れば、季節の柔らかな移ろいを感じることができます。人間の社会はどうでしょう?人は他の哺乳類と比べて脆い肉体にもかかわらず、群れて協調することで力を発揮し、地球上で営々と命を繋ぎ、文明、文化を築き上げました。命の寿命は長く見積もっても僅か100年、悠久の地球時間では瞬きするよりも短く、儚いものです。せめて、人として生きる時間に母なる地球の環境に小さくても貢献し、大切な文化・文明を次の世代にバトンタッチしたいと思うのは私だけではないと思います。
前回に引き続き、ビタミンのお話をいたしましょう。
今回は動脈硬化のリスクとなるホモシスティンのお話から始めます。
ホモシステインは耳慣れない言葉かもしれませんが、コレステロールや中性脂肪と同じように血管を老化させる物質です。
私たちの身体が健やかであるために、外部から摂取する必要がある9種類の必須アミノ酸の1つで、肝臓の機能調整をはじめ、身体の機能維持に働くL-メチオニン(お肉などにたくさん含まれています)が適切に代謝されないとリサイクルできなくなり、身体にとって迷惑な血管老化物質ホモシスティンができることになります。この迷惑なホモシスティンを取り除くのに必要な栄養素が、ビタミンB12、B6、そして葉酸のビタミンB群です。高濃度にホモシスティンが血中に溜ると、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、そしてアルツハイマー病から、果ては骨粗しょう症まで引き起こす可能性が伝えられています。
ホモシスティン掃除に役立つビタミンB12、B6、葉酸をそれぞれ単独でサプリメントから摂取する場合、ビタミンB6の過剰摂取は禁物です。エネルギー代謝に関わるビタミンB12は、大半が動物性食品に含まれていますので、菜食がメインの方はご注意ください。ビタミンB12が不足すると、手足のしびれなどの末梢神経障害や疲労感、貧血(ビタミンB12は新しい赤血球をつくるのに必要なビタミンです)、体力の低下など自覚症状がありますので、ご自身のお身体と話し合ってみてください。
ビタミンB12に関しては、妊娠・授乳中の方も推奨量内であれば安全性が伝えられています。ビタミンB12は傷ついた末梢神経の回復に有効と伝えられていて、B12補充のために腰痛の処方薬としてメコバラミンなどが知られています。
ビタミンB6と葉酸に関しては、次回引き続きお伝えいたします。いずれにいたしましても、協働するビタミンの中でも特にグループ作業が多いビタミンB群は、単独よりはB群総合でのご利用が望ましいと思われます。
ヒトの命も暮らしも、そして環境も健全であるには、全体を見る目を養い、互いに協調して作業にあたることが必須なのですね。