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エビデンスに基づいた健康情報

栄養素と病気予防

栄養素のお話ービタミンD
2022-04-23
チェック
 原稿を書いている現在、先週に比べて新型コロナ感染者が減少傾向にあることが伝えられています。そうした中でも医療に携わる方々は、日々患者様のために奮闘しておられます。ご自身のリスクを顧みず、患者様へのご尽力に大きな敬意と感謝をお伝えしたいと思います。

 国立医療研究センターでは同センターのハイリスク医療従事者361人を対象に調査を行ない、その結果を発表しています。報告によりますと、年齢や性別にかかわらず、顕著に不足していた栄養素がビタミンDでした。報告書では、医療従事者だけでなく、長期間の屋内生活をしている方には、適度な日光浴もしくはビタミンDの補充(食事、サプリメント、薬剤)が重要である可能性が示唆されています。

 ビタミンDは”サンシャイン・ビタミン”とも呼ばれ、日光で活性化するビタミンです。その効用は多岐に渡り、細胞の分化や増殖、免疫機構、骨代謝などは特に知られています。研究も多く行われていて、いくつかの研究結果をお伝えしようと思います。

① 国立がんセンターの研究では、日本人の血中ビタミンD濃度が上昇すると、大腸がんや肺がんの罹患リスクが低下すると伝えています。

② ビタミンDが不足する高齢者では、着替えや階段の上り下りなど、日常生活に支障をきたすこと、中・高濃度の血中ビタミンD濃度の方では、そうした支障が報告されない、
  そしてビタミンD濃度の欠乏している方では、徐々に生活に支障が現れてくると報告されています。

The New England Journal of Medicine誌掲載の論文でも、高齢者の高用量ビタミンD(≧800IU/日)+カルシウムが大腿骨頸部骨折を含むあらゆる非椎体骨折の予防に有望と伝えています。現在20代でも骨粗しょう症の方がおられるそうですので、全身を覆って日焼けを防止する努力を続けておられる方も見受けられますが、将来的には大きなリスクかもしれませんね。

③ 東京慈恵会医科大学の研究では、パーキンソン病の病態を安定させる可能性を伝えています。

④ The American Journal of Clinical Nutrition誌の掲載論文によれば、ビタミンDの欠乏と不足はⅡ型糖尿病発症のリスクを高めるそうです。

その他、アトピー性皮膚炎など、様々な疾患に関する研究報告が寄せられています。どのビタミンでも同じですが、ビタミンDの体内血中濃度を十分な状態に維持することは、健やかに暮すためには必須だと考えられます。ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積する可能性を視野に入れ、過剰摂取は避けたいものです。普通の日常生活を送る私たちの場合には、サプリメントでは1000IU程度が妥当かと思われます。