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エビデンスに基づいた健康情報

栄養素と病気予防

栄養素のお話ービタミンC
2022-04-09
チェック
 さまざまのこと思ひだすかなー松尾芭蕉
 今年も我が家の庭に満開の桜を見ることができました。
季節やヒトの生き様が移ろう中、自然の織り成す景観は変わらない姿を見せてくれます。
日々のニュースを見ながら、一日も早く平和と自由が世界に訪れ、美しい自然の織り成すハーモニーを楽しめる日がきますようにと願わずにはいられません。

 前回はタンパク質ーアミノ酸のお話をいたしました。
私たちの身体を健やかに(できれば心も健やかに)保つための栄養素は多様にあります。なかでも欠かすことのできない栄養素にビタミン類があります。ビタミンには多種類あり、果物や野菜、肉類などにも含まれ、私たちの身体の機能を支えてくれています。ただ、どの栄養素も同じで、互いに助け合って身体のそれぞれの器官が円滑に機能するように作られていますので、「今日はレモンやサラダをたくさん食べたから安心」というわけではありません。

 ビタミンの中で最も知られているのがビタミンCです。因みにサプリメントとして売られているビタミンCに黄色の製品が多いのは、”レモンを想起するために手に取りやすいから”という販売戦略で、実際のビタミンCは白に近い色です。ビタミンCは、モルモットなど一部の動物と同じようにヒトの体内で合成できませんので、外部から摂り入れる必要がある栄養素です。ビタミンCは水溶性ですので、調理で流れてしまう可能性があり、加えて身体の中に残留できる時間が短いために、ある程度時間差で召し上がるほうが有効な働きをしてくれます。

 ビタミンCは抗酸化作用(身体のサビとり)が高く、肌への有効性には多数の研究報告が寄せられています。厚生労働省のホームページを見ますと、他にも健康に及ぼす有効な作用として
    ① がんの予防と治療
    ② 加齢黄斑変性症など
    ③ 喫煙者ではビタミンCが多く失われますので、補給による効果など
が挙げられています。

 一方、風邪の時にビタミンCを摂るとよいと言われていますが、発症後に利用してもあまり効果が無いそうです。(ただしビタミンCを日常的に利用している方は、そうでない方と比べて風邪の罹患期間が短く、症状も若干軽いとのことです。)

 コラーゲンの合成にビタミンCは必須ですので、関節に不具合のある方にも有用と考えられます。また、脳は身体の中でも高濃度のビタミンCが維持されている器官です。研究(東大医学部付属病院プレスリリース)によれば、ある遺伝子を取り除き、ビタミンC濃度が大きく低下したモデル動物では脳重量が低下していることが分かりました。ビタミンCは脳でも重要な役割を果たしているのですね。ビタミンCは細胞膜、血液脳関門(脳の関所)を通過できないのでは?との懸念をお持ちの方には、タンパク質で構成されたビタミンC用の輸送体が細胞へ出し入れを担ってくれていることもお伝えしておきます。