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エビデンスに基づいた健康情報

不定愁訴を遠ざける日常生活の留意点

コーヒーは健康に良い?
2022-08-13
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暑さで眠りにくい一夜を過ごした翌朝、目覚めに飲む一杯のコーヒーは小さな喜びを運んでくれます。コーヒーには多様な健康に寄与する働きがあります。今回はコーヒーのお話で明るい一日を始めていただけることを願って原稿を書いております。

まず、3件のオーストラリアでの研究報告(38万2,535人を調査―2022年3月24日公開)の結論をご紹介しましょう。
毎日2~3杯のコーヒー摂取により冠動脈疾患、心不全、不整脈、全死亡のリスクが10~15%低下するそうです。また、脳卒中や心臓関連死が最も低
かったグループは、コーヒーを一日1杯摂取しているそうです。

 コーヒーと心房細動の関連が指摘されますが、この研究では1日1杯のコーヒーを摂取する心房細動患者様のグループでは全く摂取しないグループに比
 べて死亡リスクが20%近く低いことも併せて報告されています。因みに過去にコーヒーを1日8杯摂取しても死亡リスクの低下と関連しているとの報告
 も出されています。

100名を調査したカリフォルニア大学の研究報告では、コーヒーの摂取は研究に参加した方では1日の歩数が通常に比べて約1000歩増え(杯数相関的に600歩ずつ増えているそうです)活動性が高まる一方で、対象者の夜間睡眠時間が36分減り、1杯増えると18分短くなることが伝えられています。   また、この研究では、心室から異常な電気信号が引き起こす不整脈(心室性期外収縮-PCV)が54 %増加することが示されていますので、オースト
ラリアの研究とは異なります。査読前論文ではありますが念のためお伝えしておきます。

最後に日本での研究報告(新潟大学研究)についてご紹介しましょう。この研究ではコーヒー、紅茶、緑茶の摂取と認知症の関連について40歳から74歳の男女13,757人を8年間に渡って追跡調査した結果を報告しています。
研究によりますと、1日3杯以上のコーヒー摂取で認知症リスクが50%減少したそうです。但し、この結果は男性の場合で、女性では有意な結果は得られていません(残念)。 また、緑茶では60~69歳グループで有意な結果が得られたとのことです。(2021年10月8日公開)

では睡眠不足についてコーヒーは有効なのでしょうか?
夜更かしした翌日などは何とかコーヒーで乗り切りたいものですが、実際にはどうなのでしょうか?

米国ミシガン州立大学の研究では、残念ながらコーヒーに含まれるカフェインによって覚醒レベルは保たれますが、行動のレベルは通常より低下し、難易度の高い仕事の遂行は難しくなるそうです。また、カフェインに耐性がついて、容量がどんどん増えるリスクも想定しなくてはなりません。(2022年5月20日公開)

コーヒーに関してはポジティブな結果が多く出されていますが、ネガティブな結果もあります。どんなものでも全てにポジティブと考えられるものは無いと思われます。コーヒーは嗜好品ですので、私たちは美味しいと感じるレベルで楽しむ、ほどほどが幸福なのではないでしょうか?