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エビデンスに基づいた健康情報

新型コロナウィルス感染症とワクチンについて

お子様の新型コロナワクチン接種についてー日本小児学会の声明(2021/6/16)
2021-09-11
 今回はお子様の新型コロナワクチン接種に関して日本小児科学会の声明も含めてお届けいたします。毎週土曜日に皆さまにお読みいただいております原稿は前日の金曜日に書いております。今日は久しぶりに陽の光を浴びることができ、庭の草木も活き活きしているように見えます。

 米国の有力誌ニューヨークタイムズの報道によれば、インドネシアでは7月上旬のわずか1週間で小児の死亡は150人以上となり、その半数は5歳未満だったそうです。また、米国でも状況は深刻化しつつあり、全米で300人以上の小児が新型コロナウィルス感染症によって死亡し、軽症を含めて10%の子供たちに数か月に渡る後遺症が出ていると伝えています。米国では現在、5~11歳の小児へのワクチン接種に関する治験が行われていますが、FDAはワクチン接種後に概ね若い世代に起こる心膜炎・心筋炎のリスクを考慮し、慎重な姿勢で臨んでいるそうです。日本小児科学会の声明(6月16日)では、子供を感染から守るためには、まず周囲の成人接種を優先させることが重要としています。子供に関しては、12歳以上の健康な子供の場合でもワクチン接種には意義があるとしています。特に基礎疾患のある子どもの場合、感染による重篤化を防ぐことが期待できるとしています。一方で学会では子供の副反応は頻度が高く、担当ドクターと養育者の体調管理と接種後の経過観察が重要としています。
厚生労働省のHPには12~15歳のお子様で接種対象となっている方に関して掲載されていますので、必要な場合にはそちらをご覧ください。

 小児科学の森内浩幸長崎大学教授(日本小児科学会理事)によれば、「子供は周囲の大人から感染することが多いので、大人が接種することで感染させない環境作りを行うことが重要。健康な子供への接種は急ぐことはありません。また、子供に関する副反応の情報量が未だ十分でないことが課題」(毎日新聞9月10日より転載)と述べておられます。米国で起こった学校でのクラスターではマスクをしていない教師や保護者が感染源だったそうです。そうした方々を責めるわけではありませんが、やはり大人が感染源となる可能性は高く、私見ではありますが、子供より前に大人がワクチン接種を含む予防策を講じることで、身を守る術を持たない子供たちの健康と未来を大人たちが守っていく必要があると考えます。また、充分で適正な治験により安全性が確認されたあとで、子供たちへのワクチン接種(ワクチンの量も視野に入れていただきたいと思います)が望ましいと思われます。今、多くの方のご努力で東京の感染者数は減少傾向にあります。今後、有効な治療薬なども出てくれば、本当のウィズコロナの時代が訪れ、経済も人の流れも回復した暁には、この暗い日々を笑顔で語れるのではないでしょうか?もう少し、一緒に耐えて頑張りましょう。