新型コロナウィルス感染症とワクチンについて
ワクチンの有効性についてーBMJ論文/米国CDC発表/千葉大2021/6/3発表
2021-09-04
冷たい雨がそぼ降る今朝は秋の訪れを感じる涼しさです。ひと夏の間、目を楽しませてくれた朝顔も鮮やかな色を残して萎れています。東京ではここ一週間ほど新型コロナの感染者数が減少傾向にあり、道を歩けばほぼ全ての方がマスクを着用し、感染予防へのご努力が窺えます。
ワクチン接種も進んでいますが、今回は著名な論文誌British Medical Journal(BMJ)に掲載されたワクチンの有効性に関する論文などの概略をお伝えいたしましょう。この大規模な研究はカナダ、オンタリオ州で新型コロナに感染した約32万人を対象とした大規模研究結果です。対象となったワクチンはmRNAワクチン(ファイザー社やモデルナ社で日本でも利用されていますね)です。結果は皆さまもご存知かもしれませんが、1回目のワクチン接種14日以降に確認された有効性は60%、14~20日以降は48%と一時的に低下し、その後35~41日で91%に上昇しています。
一方、2回目で7日以降に確認された有効性は平均値で98%となっています。70歳以上の方の場合、1回目の接種後、期間が短い間は有効性が低く、28日以降で若年層の14日以降に匹敵する有効性を示したそうです。この研究では当該ワクチンはγ株(ブラジル由来株)への有効性を示すことが確認されました。
では、現在猛威を振るっているデルタ株への有効性はどうなのでしょうか?感染者の9割がデルタ株に置き換わっているカリフォルニア州での調査をCDC(米国疾病センター)が発表しています。この報告書ではワクチン未接種グループは接種グループに対して感染率が4.9倍高く、入院する確率は29.2倍高かったと伝えています。
ワクチン接種で期待される新型コロナウィルスに対する抗体価に関して、日本人ではどうなのでしょうか?千葉大学病院の研究が6月3日に発表されています。ワクチン接種者ではほぼ全員に抗体価の上昇がみられたそうですが、抗体価の上がりやすい方とそうでない方には違いがみられたそうです。上がりにくい方の共通因子は(1)ステロイド薬の服用(2)飲酒頻度が高い、となっています。一方、上がりやすい方の共通因子は(1)Covid-19の既往歴がある(2)女性(3)2回の接種期間が18~22日と長い(4)抗アレルギー薬(花粉症薬など)を服用している、となっています。
また新たな変異株が見つかったとの報道もありますが、私たちにできる従来の感染予防を粛々と続けていきながら、適切な栄養を摂り入れ、充分な睡眠時間を確保するなど、できる限りの規則正しい生活を続けるように心がけたいものです。そうしたことが習慣となれば、私たちは感染予防だけでなく、健やかな身体を作ることができ、こうした環境下で唯一お得感を感じることができるかもしれませんね。