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エビデンスに基づいた健康情報

新型コロナウィルス感染症とワクチンについて

Covid-19に関する各学会の声明(まとめ)
2021-07-03
 東京は梅雨とは思えない強い雨が降っています。地球環境の変化で風情ある梅雨は望めなくなってしまったのでしょうか。今回は各国のCovid-19に対する政府対応の質がメンタルヘルスに及ぼす影響をカナダ・トロント大学からの調査結果と、日本でのワクチン接種に関する各学会の声明についてお伝えいたします。

 その前に皆さまにお願いがあります。増えつつあるデルタ株に関して、諸々の研究がありますが、ナショナルジオグラフィック誌に掲載された論文では「デルタ株はより伝播しやすく、重症化しやすく、ワクチンを逃れる」と報告されています。今後の研究で別の結果が出てくる可能性もありますが(例えばモデルナ社製ワクチンはデルタ株にも抗体反応するといった報道でモデルナ社の株が急騰するなど)、ワクチン接種を2回終えられた方々もマスク、手洗い、密を避けるなど、ご自身、ご家族、周辺の方々を守るために従来通り、予防策の継続をお願いしたいと思います。

 さて、本題に入ります。トロント大学の研究を纏めますと、「Covid-19の蔓延を封じ込めるために厳格な対応を講じた政府は、国民の身体的健康だけでなく、メンタルヘルスに対してもベネフィットをもたらした」とのことで、厳しい措置をした政策をタイムリーに実施した国ほど有意な抑うつ症状の有症率は低かったそうです。五輪を開催しようとする日本政府はどうでしょうか?

 次に各学会のCovid-19に関する声明を短く短く纏めたものをご紹介しておきましょう。
小児科学会に関しては、2021/6/19にご案内しておりますので、今回は省略いたします。

  • 日本産婦人科学会
妊娠初期を含めて、ワクチンは妊婦・胎児ともに守ります。持病のある妊婦さんは特に接種を検討すべきです。
  • 日本神経科学会
現時点で神経疾患(脳卒中、認知症、神経難病)を対象としたエビデンスはありませんが、海外データでは副反応は一過性のものであり、アナフィラキシー以外は重篤な健康被害はみられていないことからリスクは小さいと考えられます。
  • 日本血液学会
基本的にワクチン接種は推奨されるものの、治療状況に応じてワクチン接種の効果が減じる可能性があるため、主治医と適切なタイミングをご相談ください。
  • 日本リウマチ学会
ステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上、または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者様は他の人たちよりも優先して接種することが望ましいと考えられます。通常、ワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。
  • 日本がん治療学会
がん患者様における重症化の可能性を考慮しますと、ワクチン接種はベネフィットがリスクを上回ると思われ、ワクチン接種が推奨されます。

 そのほかいくつかの声明がありますが、今回は上記の学会声明をご紹介しました。