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エビデンスに基づいた健康情報

新型コロナウィルス感染症とワクチンについて

免疫老化を食い止めましょう
2021-01-15
 緊急事態宣言下で私達にできることは何かをお伝えしております。今回は先日行われた日本抗加齢学会WEBセミナーでの森下竜一大阪大学大学院教授のお話を概略でお伝えいたします。少々長くなりますが、最後までお読みいただけましたら幸いに存じます。

 国内でのワクチン接種開始が2月下旬と伝えられていますが、実際のところ未だ見通しが立っていないそうです。その間、うがい、手洗いなどの私達にできる感染対策だけでこの感染症を凌ぐには最早限界にきているとのことで、森下教授は私達ヒトが元来持っている免疫力に着目してお話をなさいました。

 ”ヒトの体内で最初に働く自然免疫の強化”がそのポイントと強調されています(このことは弊社最高顧問の遠藤先生も当初からおっしゃっておられました)。但し、自然免疫の機能は18~20歳がピークであとは下降の一途を辿ります。特に胸腺は免疫機能で最も重要なT細胞が分化する場所ですが、体内で一番退縮するのが早い場所でもあります。加齢がその一番の要因ですが、睡眠不足やストレス、腸内細菌叢の乱れなども免疫力の低下に繋がります。総合的にみて、免疫の全般的な老化がCovid-19の重症化の原因の一つとなります。


 こうした免疫老化を食い止めるには、森下教授によれば、ミトコンドリアの働きをサポートする必要があるとのことです。ミトコンドリアは私達の身体でエネルギー工場の役割を担い、例えば中和抗体を作るB細胞をはじめとして、あらゆる細胞の活性化に影響してきます。エネルギー無しではやる気が起こらないのと同じですね。ミトコンドリアは免疫を正常に働かせる司令塔の役割ですが、残念ながら胸腺同様、加齢とともに減少していきます。因みに主要な自然免疫経路は全てミトコンドリアに依存しているのです。

 そこでミトコンドリアの働きを助けるためにはCoQ10(コエンザイムQ10)が非常に重要なサポート役となってくれます。自然免疫の中でも、口腔内に多く存在し、口腔内に侵入したCovid-19を速やかに攻撃し、粘膜への付着や体内への侵入を阻止する免疫グロブリンIgAもCoQ10を摂取することで増加傾向がみられたそうです。森下教授は”ワクチン導入には時間を要するので、現時点ではまず、基本的な感染対策、生活習慣の改善から免疫力を上げることに注力し、免疫を上げる工夫として還元型CoQ10の多い食べ物(イワシや豚肉など)を食べたり、それに+αとしてサプリメントなどを活用することで、体内のCoQ10を増やすことを心がけてほしい”と述べておられます。