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エビデンスに基づいた健康情報

新型コロナウィルス感染症とワクチンについて

オミクロンXBB.1の細胞侵入効率と免疫回避
2023-01-14
チェック
  木曜日(2023/1/12)にオミクロンXBB.1に感染なさった方が出たとの報道がございました。XBB.1はどんな変異株なのでしょうか?
 論文誌ランセットに掲載されましたドイツGerman Primate CenterのPrerna Arora氏の論文が公開されましたので、簡略にお伝えいたします。
 
 XBB.1の宿主への細胞侵入効率は、現在優勢なBA5と比較しますと低下しています。
 一方の現在予防や治療に利用されている抗体のXBB.1の中和能力については、BA1に比べて1/10以下、そして現在利用されているワクチン接種あるいはワクチン+感染によって誘導されている抗体のXBB.1への中和能力は殆どみられないとの結果です。著者によりますと、現在存在している殆どの抗体はXBB.1を中和しないことから、早急に新たな抗体や治療法が必要となるとのことです。

 私たちはどうしても都合の良い情報に傾く認知バイアスによって合理的判断を回避しがちです。コロナは風邪のようなもの、あるいはインフルエンザと同じといった評価により実際の状況を直視できなくなる可能性もあります。経済との両立を図り、国が規制緩和に踏み切ったこともマスクを外し、楽しく過ごしたいと思う私たちの気持ちを叶えてくれるのは嬉しいのですが、それが安易な方向に流れを向かわせているかもしれません。

 報道は木曜日のコロナ感染による死者数が過去最高であったと告げています。基礎疾患の無いお子様の稀ではありますが、コロナ感染による死亡も報告されています。

 誰も完全な解決法を見出せないコロナ禍にあって、私たちは今、もう一度、うがいや手洗い、マスクそして不要不急の外出や会合などを避ける感染予防に目を向ける必要があるのかもしれませんね。