妊娠中の低栄養に注意してくださいー成人病胎児期発症起源説
成人病の発症は遺伝的な因子と過食などの負のライフスタイルが原因と言われてきました。しかし、これだけでは十分に説明することができない第3の要因があるとされ「成人病胎児期発症起源説」が注目されています。
妊娠期の女性が低栄養状態のとき、子宮内で育つ胎児に成人病(生活習慣病)の素因が形成されます。そして生まれた赤ちゃんが過剰な栄養や強いストレスにさらされたり、運動不足などの好ましくないライフスタイルを続けた場合、成人病(生活習慣病)を発症します。胎児期と出生後の2段階のステップがあるとされています。
日本では「小さく産んで大きく育てる」という考えが広がり、妊娠中の女性が体重を抑制するために食事制限をされていることもあるようです。しかし、低栄養状態に陥ってお腹のなかの赤ちゃんが大切な胎児期にエピジェネティクス(遺伝子DNAの配列は変化せず、環境により生じる遺伝子発現の制御システム)が変化し、将来、成人病を発症する可能性が高くなってしまっては元も子もありません。
事実、日本では出生体重の低下が進行しており、それは妊婦栄養の劣悪化が大きな要因となっていると指摘されています。
もともと日本人は、乏しい食糧事情を生き抜くなかで、脂肪をため込みやすい倹約遺伝子をもった人が34%もいると報告されています。
出生体重との関連が明確な疾患
1)虚血性心疾患
2)(Ⅱ型)糖尿病
3)高血圧
4)メタボリック症候群
5)脳梗塞
6)脂質異常症
7)神経発達異常
※de Boo HA and JE Harding. Austral New Zealand J Obstet Gynecol.2006;46:4-14 . 改変
また、出生体重の低い子に腎臓の病気が多いと言われています。腎臓には血液から老廃物を排泄して尿をつくる糸球体という毛細血管が集まった玉状の組織があり、出生体重の低い子の場合、その糸球体の数が少なく、糸球体にかかる負荷が大きくなって肥大し、体積が大きくなっているという研究結果が出ています。
エピジェネティクスと栄養
上のお話をお読みになって、低出生体重児だから…とご心配になる向きもあるかもしれませんが、「体質3年説」体質は3年で変わると言われています。
子どもの頃、虚弱体質だったとしても、健康的な生活習慣をつくることで健康になりますし、逆に健康に生まれても、無頓着な生活を続ければ、早くに病気を発症することもあります。特に食事や栄養はその人の生活習慣が最も表れやすく、食事の回数や量、食材の選び方、味付けなどに大まかな習慣が認められます。食事や栄養、代謝の状態はエピジェネティクスの変化(遺伝子自体は変わらずに、遺伝子の印付けで発現が調節される)に直接影響を与えます。
エピジェネティクスは可逆性をもつ遺伝子のメカニズムで、エピジェネティクスの異常は適切な治療や生活スタイルの改善によって回復が可能であることが明らかにされつつあります。
jastのご提案
オランダの研究で分かった子供たちの栄養バランスの崩れから将来、成人病に罹患する「成人病胎児期発症起源説」は医療分野の大きな懸念となっています。赤ちゃんの健康は生まれた後からではなく胎児期からつくられています。
妊娠をお望みのかたは潜在的な低栄養のない望ましいお身体の状態をつくっていただくことからお始めください。jastでは栄養学的サポートを行なっております。
また、妊娠期と授乳期では、お母様が召し上がったものが赤ちゃんに届くため、食材の安全性に気を使われると思います。お母様のお身体を望ましい栄養状態にしていただくことが、胎児や生後の乳児の健康な発育の助けとなります。jastではマタニティ専用のサプリメントを揃えており、そのかたに合った栄養学的サポートを行ないます。