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エビデンスに基づいた健康情報

新型コロナウィルス感染症とワクチンについて

化粧品とアナフィラキシーの関係
2021-07-24
 氷をお皿に見立てて、新鮮なレタスやコリアンダー、バジルなどを散らし、軽く揚げたサーモンなどのお魚を載せていただく夕餉が恋しい季節です。夏の代名詞といえば、鮮やかな色が美しい向日葵でしょう。向日葵の花言葉には「未来を見つめて」があるそうです。コロナ禍の中、やがて訪れる健やかな未来を思い描き、穏やかな日々を過ごしていきたいものです。

 ワクチン接種が進む中、ワクチンに恐怖感を抱いておられる方が世界的にみても相当数おられるそうです。特に若い女性の不安感に対して、日本産婦人学会などがワクチンによる流産や不妊などの心配が無いことを度々声明として出しているほどです。一部のデマに不安感が増幅している可能性もあるでしょう。特に知識のある方の場合、アナフィラキシーを心配なさる向きもあるかもしれません。現在、新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーは信頼に足る報告では100万回に対し7件で、医療機関で利用される造影剤や感染症治療に用いられる抗生物質(100~500回)などと比較すれば極めて少ないと言えるでしょう。けれど、予防策があれば知っておきたいと思うのは人情です。残念ながらアナフィラキシーを増強させる要因は複雑に絡み合うために、確定した予防策は無いそうですが、アナフィラキシー既往症が無くても注意すべきケースについて、横浜市立みなと赤十字病院の中村陽一センター長がアドバイスしておられるので、ご紹介しましょう。

 まず、喘息患者様でコントロール不良の方や喘息様の症状(呼吸音がゼーゼー、ヒューヒュー)がある場合にはアナフィラキシーが重症化するリスクがあるために、接種前に受診をしておくことがお薦めです。また、アナフィラキシー発症リスクの高い方として①高齢の方(薬剤に過敏歴のある場合と化粧品使用の経験が長い)②女性(化粧品使用率が高く、ワクチンに含まれている化学物質、特にプロピレングリコールーPGによって経皮感作の可能性があります)などが挙げられています。但し、化粧品使用歴が長い場合でも、これまでにそうした製品でアナフィラキシー様の症状を起こした経験の無い場合には、過剰に心配なさる必要はないと思います。なお、一度でもアナフィラキシー様症状を経験した方は事前に医療機関に相談されてから接種に臨まれる方が良いと考えられます。

 新しい変異株が次々に出現し、ブレークスルー感染(ワクチン2回接種後に再感染)の報道もあるため、ワクチンの効果に疑問を抱いている方もおありでしょう。新型コロナに感染した場合、最悪死に至ることもあり、また回復後も長く後遺症に悩まされるケースも少なくはありません。完璧ではなくても、少なくともワクチン接種は自分自身の命を守る重要な一手段であり、ともに暮らす方々への配慮とマナーであることをどなたにも知っていただきたいと思います。