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エビデンスに基づいた健康情報

栄養素と病気予防

栄養素のお話ー抗脂肪肝ビタミン様物質イノシトール
2022-06-04
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 6月1日は「天気予報の日」だとご存知でしたか?先日朝日新聞の天声人語を読んで、私は初めて知りました。明治8年に東京気象台(現気象庁)が設置されたのが6月1日だったそうで、その9年後の同じ6月1日に気象予報が初めて出されました。
”Variable  winds, Changeable, some rain―風向きは一定せず、天気は変わりやすく、所々雨“ この予報は当時雇用されていた外国人によるもので、実に簡潔な内容で伝えられています。今では詳細な天気予報が日々出されていますが、かつて聞いた記憶にある「天気予報の変化に注意しましょう」には大笑いさせられました。皆さまの中にも実感できる方がおられるのでは思います。地球環境の変動で現在天気予報に携わる方々のご苦労が偲ばれます。
 
 気象台が最初に設置された1884年とほぼ時を同じくして発見されたビタミンがあります。1850年、ドイツ人医師シェラーが牛の心筋から発見したイノシトールです。イノシトールは私たちの体内でブドウ糖から合成できるためにビタミン様物質に分類されています。
あまり一般的なビタミン系栄養素ではないのですが、イノシトールは動物実験からヒトへの臨床実験まで多くの研究が世界的に行われ、数多の報告が寄せられています。中でも顕著な有用性として肝臓に溜まった脂肪を代謝して流れやすくしたり、コレステロールの代謝を盛んにしたりする作用により、医療分野では脂肪肝や肝硬変の予防や治療目的で利用されているそうです。
また、イノシトールは細胞膜を構成するリン脂質(ホスファチジルイノシトール)の重要な構成成分であるため、神経細胞を保護し、機能を正常に保つためには必須の栄養素です。脳細胞に充分な栄養を供給することで感情や気分、行動などを健やかに保ち、神経の緊張を和らげる目的で利用されることもあります。栄養素は自然からの恵みですので、その働きには多面性があります。一見関係ないような卵巣機能や生殖器機能をサポートすることも研究報告されています。

イノシトールは糖尿病や動脈硬化など生活習慣病がご心配な方や、自律神経系にご不安をお持ちの方、また厳格な糖質制限をなさっている方にはサプリメントによるご利用も望ましいと思われます。研究によれば、1日の摂取量が18g(1800mg)までのご利用では有用性が高く、一方で副作用報告はほとんど見当たりません。

 イノシトールに限らず、様々な栄養素を届けて生命を輝かせてくれる母なる地球がヒトの活動でこれ以上汚染されたり、破壊されたりしないように努力し続けることはヒトの使命なのです。また、他者を恣意的に弾圧や虐待しないことは知性をもって生まれてきた私たちに課された責任であり、両者は根幹では一つなのではないでしょうか。
今日もまた無辜の命がどこかで失われているでしょう。地球上の生命が安寧でありますように。