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エビデンスに基づいた健康情報

不定愁訴を遠ざける日常生活の留意点

薬やサプリメントを利用する時の姿勢について
2022-09-24
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 米国ジョン・ホプキンス大学から最も効果的にお薬が作用するためにはどういった姿勢で服用すればよいか、という研究報告が出されましたー2022年9月8日「Physics of Fluids」 殆どの錠剤は服用後、胃から腸へと排泄されて効果が現れます。錠剤は、胃の一番奥にある幽門洞と呼ばれる場所に早く到着すればするほど分解が早く、そこから十二指腸に到着するのも早くなります。

 ジョン・ホプキンス研究では、薬剤を服用する時の姿勢と胃の運動がバイオアベイラビリティ(薬剤が投与されて全身の循環に到達して作用する割合)に与える影響を検討しています。今までお薬を飲むときに一番有効な姿勢についてのご指導を受けたことがおそらくどなたにも無いと思えますので、興味深い研究ですね。

 この結果、お薬を服用する際の姿勢では身体の右側を下にして横になった状態で服用すると、錠剤を分解する速度は10分、立って服用した場合には23分、左を下にして横になって服用した場合には100分、仰向けの場合には概ね23分だったそうです。
この研究で何気なく服用している錠剤でも利用する時の姿勢によって大きな違いがあることが分かりました。特にご高齢で座って過ごす時間が長い方や病床にある方の場合、薬の服用姿勢によって大きな影響をもたらす可能性があるようです。

お薬の効果が早く現れることは利用者としては望ましいので、こうしたご指導も薬局や薬剤師の方にお願いしたいものです。近年、服薬の時間によって効果が異なる時間薬理学に注目が集まっています。それに加えて服薬姿勢も重要であることがこの研究で明らかになりました。

 jast講演会では姿勢が自律神経系の不調や微小血管の血流障害に大きな影響を与えることが示されていましたが、服薬にまで姿勢が関連することが分かり、直立二足歩行をするヒトにとって姿勢がいかに重要かを再認識いたしました。現在、お薬をご利用中の方は、より早く薬の効果が得られる姿勢での服薬までを一連の流れと考えていただきたいと思います。因みにサプリメントでも同様です。