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エビデンスに基づいた健康情報

新型コロナウィルス感染症とワクチンについて

ワクチン接種後の心筋炎、心膜炎の発症ー米国CDC
2021-06-19
 梅雨はジメジメなど不快な表現が現代社会では使われがちですが、古来より日本人は雨に特別な思い入れがあったようで、短歌や和歌には多く読み込まれています。しとしとと降る雨に濡れて際立つ木々の美しさや逢えない人を想う気持ちが感じられるのは日本人特有の感性かもしれません。時が緩やかに流れる自粛生活の中、梅雨の美を感じるのも楽しみかもしれませんね。

 無粋ではありますが、コロナワクチン接種が進むなか、米国小児科学会ニュースを取り上げてみたいと思います。このニュースには今後、日本でも始まる若者のCovid-19接種後の有害事象について報告されています。mRNAワクチン(ファイザーやモデルナ)2回目接種後の16~24歳男性で、心膜炎、心筋炎発症が想定以上に多く認められているために、CDC(米国疾病予防管理センター)は18日に急遽専門家会議を開催することを決定しました。現時点で30歳以下の発症者は入院例475例が報告されていて、幸い経過は良好で81%が退院、完全回復しているそうです。接種が早いペースで行われたイスラエルでも同様の報告が上がっています。心筋炎とは心臓の筋肉に炎症が起こる疾患ですが、明確な診断が難しいようで、40歳以下の突然死の約20%が心筋炎によるものとも伝えられています。心膜炎は心膜に炎症が起こるもので、概ね軽症といわれています。両疾患はウイルス感染によるケースが多く、Covid-19に伴って発症することは知られています。ワクチン接種後、7日以内に若い成人や小児に胸痛、息切れ、動悸などの症状が現れたら、躊躇わずに医療機関を受診し、必要があればドクターに心筋炎や心膜炎の可能性があるか、伺ってみましょう。

 また、6月16日に日本小児科学会が声明を発表しています。この声明では子供を感染から守るためには、まず周囲の成人が免疫を獲得することが重要とし、成人接種を優先すべきこと(子供に関わる業務従事者は職種、勤務形態を問わずワクチン接種が重要)、そうした上で子供自身への接種については、12歳以上のワクチン接種には意義があり、個別接種が望ましいこと、接種を希望しない子供や養育者を特別扱いしない配慮が必要であることなどを伝えています。また、小児科学会ではワクチン接種の有用性を認めながらも、子供は副反応頻度が高いことが報告されているため、主治医と養育者による体調管理と接種後の経過観察が重要とも伝えています。

 あまり、神経質になる必要はありませんが、先に知っておけば、緊急の場合に有効な対処を早くに医療機関で受けることができるかもしれませんので、長くなりましたがご一読をお願い申し上げます。