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食物繊維について

食物繊維はなぜ腸に良いのか?

食物繊維とは

 食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。食物繊維は大腸に到達すると、その一部が酪酸産生菌によって分解され、短鎖脂肪酸がつくられ、大腸のエネルギー源として使われます。これを腸内発酵といい、食物繊維は酪酸産生菌の”エサ”と言えます。腸内発酵を促す食物繊維は発酵性食物繊維と呼ばれています。

一日にどれくらいの食物繊維をとればいい?

 日本人の食物繊維の一日あたりの目標摂取量は、男性(18~64歳)で21g以上、女性で18g以上とされています。―厚生労働省「日本人の食事摂取規準」(2020年版)これに対して一日あたりの平均摂取量は、20歳以上の男性で19.9g、女性で18.6gです。―「国民健康・栄養調査」(令和元年) 男性では目標摂取量に足りておらず、女性もぎりぎりクリアといった状況です。「目標摂取量は最低限の摂取量と考え、あと5g程度増やすイメージをもつと良い」と「京丹後長寿コホート研究」にあたった専門家が仰っています。

 また、砂糖(ショ糖)や脂身の多い肉のとりすぎは、腸内で悪玉菌を増やす原因になりますので、注意しましょう。

食物繊維と胆汁酸の関係も知っておきましょう

 胆汁酸は肝臓でコレステロールからつくられ、腸で脂肪や脂溶性ビタミン類を吸収しやすいように乳化するはたらきがあるほか、膵液や腸液ととも胃酸の強酸性を中和し、腸を弱アルカリ性にします。
 肝臓でつくられた胆汁酸は胆のうを経て腸管に送られ、回腸でその95%が脂質やコレステロールとともに再吸収され、肝臓に戻ります。これを腸肝循環といい、一日に4~12回繰り返されます。再吸収されなかった残りの5%の胆汁酸は、腸内細菌によってデオキシリコール酸などの二次胆汁酸になります。二次胆汁酸は活性酸素の産生やミトコンドリアの障害といった細胞毒性の強い物質です。因みに二次胆汁酸の中で唯一ウルソデオキシコール酸は細胞保護作用を有しています。  
 胆汁酸を発がん促進物質に変換する6つの腸内細菌も特定されており、こうしたタイプの腸内細菌を増やさないために、サプリメントによるプロバイオティクスの補給が推奨されます。
 
 また、腸管に放出された胆汁酸とともに充分な量の食物繊維があれば、胆汁酸は食物繊維に絡まり体外に排泄されます。こうして、胆汁酸の再吸収が減り、コレステロールの低下も期待できます。サプリメントでは食物繊維を手軽に補給できるカプセルタイプの製品があります。便秘解消効果が期待できるほか、コレステロールが高めのかたにもお薦めです。